Journal de la Rive Droite 右岸通信

物理的には私は右岸にいる 精神的には左岸にいる これは右岸と左岸に解離している私の通信記録

無題

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彼は時折、変なことを言う人だった。

私は確かに、かつて色にまつわる仕事をしていたが、オーラソーマはしていない。口に出したこともない。

でも、彼はなぜか、私に何度もオーラソーマオーラソーマと言うのであった。

やってないし、やるつもりもないよ、あれすごく習うのに高いんだよ、と私は答えた。

そう答えているのに、しばらくすると、またオーラソーマはやってないのか、と問うのである。

だから言ったでしょ、やらないよ、興味があるの?と聞くと、彼は全くないと言う。

変なの、あなたってほんと変わってるわね、と私は笑っていた。

 

私は解離がわかる前、彼を恋しがるもうひとりの私の正体がなにか、ずっとわからなかった。

霊感ゼロ、スピリチュアルなんて意味わかんないと言い放っていた私ですら、何かに取り付かれているのか、はたまた過去世の記憶か、としか言いようのない自分自身の分裂した思考と感覚と感情に悩まされた。

ヒントを探るべく、ヒプノセラピーで過去世(といわれているなにか)を見に行ったこともある。

3回試したが、いずれの人生でも”私”は”彼”を失っているのだった。

そのうちのひとつが強烈で、なみなみならぬ情動を伴っていた。

それは古代エジプトだった。セラピストに何時代かと尋ねられると、無論、反応して答えるのは「私」の役割なのだが、紀元前の話らしく、大層びっくりした。

「私」としては紀元前って人間いたの?恐竜しかいないんじゃなかった?とか思っているのだが「彼女」は実に淡々と答えるのである。

「彼女」は巫女をしていた。そして、彼となにか約束をしたらしいが、それは叶わなかったようである。

あれが本当に過去世なのか、私の脳が見せた単なるイメージなのか、私にはわからない。確かめようもない。

でも、解離がわかる前は、なるほどね、「彼女」が彼を好きだったのかあ、と納得する程に「彼女」の気持ちを「私」は強く体感していたのだった。

 

先日、読んでいた「解離性障害」という本にグノーシス主義のシュジュゴスにあたるものが解離の人のイマジナリーフレンドなのではないかというようなことが書かれていた。

グノーシス主義においては、シュジュゴスは「配偶者」と表現されるもので、このような「配偶者」に会う時、人は初めて自分が何者であるかを知るとされている。

そして、その「知ること」自体を「グノーシス」と呼び、それが「救済」なのだという。

イマジナリーフレンドと対話をして自己を知っていくことが可能という点でシュジュゴスとイマジナリーフレンドは極めて近い、というのが著者の言い分だった。

知ることが救済なら、私も確かに救済に向かっているのかもなあ、おもしろい、と思ったので、グノーシスについて調べることにした。

グノーシスの本は図書館には数える程しかなかったので、フリマアプリでもなにか違う本あるかなと思い、「グノーシス」と入力して検索してみた。

そこには全く思いもしなかったものがひっかかった。

 

オーラソーマ ポマンダー イエロー」

イエローは、呼吸やブリージングによって、より多くのエネルギーを生み出すことを援助します。
官能的な喜び、すなわち、感覚器官をとおして喚起された喜びをもたらします。
神経的な落ち込みや季節的な落ち込みに対して効果があります。
理屈に合わない恐怖や神経症の克服に有効です。
喫煙、飲酒、またはコーヒーなどの習慣を止めようとする過程を助けてくれます。

オーストラリア原住民(アボリジニ族)、グノーシス派(キリスト教の一派)、エッセネ派ユダヤ教の一派)、古代エジプトとピラミッドでの過去世とつながるのを助けます。

 

グノーシス古代エジプトオーラソーマ

容易には繋がらないはずの点がぐるっと繋がっただけではない。

その繋がったオーラソーマのイエローのポマンダーの効用とされる内容は「社会不安障害でアルコール依存ぎみ」の彼にぴったりなのである。

私は彼に会わなければ古代エジプトが出てくる過去世など見にいくことは生涯なかっただろう。

解離性障害だとわかることもなく、「解離性障害」という本を手に取ることもなく、その中に書いてあるグノーシスなんて言葉を知ることもなかっただろう。

そして、グノーシスという言葉でフリマアプリを検索することもなく、このオーラソーマのポマンダーの存在を知ることもなかっただろう。

不思議なドミノ倒しみたいだと思う。

単なる偶然だよ。

そう笑い飛ばせばいいのかもしれない。

でも、彼は一体、何者だったのだろう?本当にいたのだろうか?と私はつい思ってしまう。

そのくらいに狐につままれたような、たぬきに化かされたような気持ちがする。

知ることが救済なのかどうか、私にはまだわからないけれど、私は確かに彼によって、私の脳の不思議な一面を知ることには成功しているのだろう。

シュジュゴスがもし本当に存在しうるなら、彼はシュジュゴスなのかもしれない。

ポマンダーは手につけて、香水みたいに使うみたいだ。

効くのか効かないのかわからないけど、彼にプレゼントできたらよかったな。

ここまでたどり着くのが遅すぎた。

私はもう東京にはあと一ヶ月もいない。

 

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな きっとね いないよな

会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ
すりむいたまま 僕はそっと歩き出して