Journal de la Rive Droite 右岸通信

物理的には私は右岸にいる 精神的には左岸にいる これは右岸と左岸に解離している私の通信記録

セックス考 1

私は、自分が、もうセックスをすることができないのではないかと思っている。

それがなぜなのかはわからない。

いま、わかることは、私の経験した多くのセックスが単なる好奇心と、相手を喜ばせなければならないという焦燥感と義務感と、それができたときの自己満足感に支配されており、目の前に相手はいても、相手は関係がなく、いわば、私は自分の思考とセックスしているようなものだったと気付いたということだけだ。

そこに気付くと、私はしなくてもいいセックスをしていたんだなと思ってしまって、なんだか恐怖に足がすくんでしまうような、ざわざわしたような、不安なような感じがあるのである。

 

私には風俗で働いている友達がいた。

彼女は経済的にはかなり幸せな結婚した。

ご主人の年収は軽く2千万を超えているのではないかと思う。

しかし、結婚後も、たまに働き、そこで出会う複数の人と仕事とは別に個人的に関係を持っていた。

彼女が何故その仕事に魅入られたかというと「ダイレクトに人の役に立っている感じがするから、普段は入れないその人の個人的な場所に入った感じがするから」と言っていた。

私はその話を聞きながら、彼女はセックスをしているときに軽くトランス状態なのかなと思った。

肉体的な快感と精神的な快感だけが混ざり合った恍惚とした世界で、そこには理性や常識や道徳観はない。

セックスで「祭りのさなか」の「ナチュラルハイでなにもかもが許された気がする」地点に行ってしまうのである。

 

一方、精神的な快感がなく、そのような仕事に従事している女性も少なくない。

お金のために…仕方なく…というタイプがそれである。

そちらはトランス状態というよりは、一種の解離状態が起きている。

性行為によって、精神的な感情と肉体的な反応が違う方向にものすごい力で引っ張られ、引き裂かれるからである。

性的被害や性的虐待は仕事として渋々やるよりもひどい。

そこでは本人が理解や納得や諦めをする時間が全くないままに無残に引き裂かれる。

 

ただ、トランスであろうと、解離であろうと、これらによるセックスは果たして本当のセックスなのか、と言われると私は違うと言わざるを得ないと思う。

セックスが本能ならば、やはり女性におけるセックスは相当にシビアなものとならざるをえない。

もし妊娠したら、産むまでに10ヶ月かかり、現代日本では産んでから約20年ほどは「母」を引き受けねばならないのだ。

その20年以上を占める子育て期間を共に歩み、また、子のDNAに関わるのがセックスの相手だからである。

避妊用具は予期せぬ妊娠や過度の妊娠から女性を救い、性病の蔓延を防ぐが、それが普及したことで女性は自らの性的欲求が肉体的な快感を求めていることに由来しているのか、精神的な快感を求めていることに由来しているのかを峻別することがなくなってしまった部分もあるのではないかと思う。

 

境界性人格障害の人は男女関係に陥りやすい。とりわけ、女性の場合、性的アピールがとてもうまい。

本当は精神的な充足や快感を得たいはずなのに、それをセックスや異性からの過剰な注目で解消しようとするのである。

多くの依存症も依存対象がアルコールであれ、ドラッグであれ、ギャンブルであれ、同じ構図となる。

セックスが違うなにかに置き換わっただけだ。

このように考えていくと、現代は多くの女性が解離的なセックス依存症なのかもしれない。

 

若く、可愛くなければならないとダイエットにいそしみ、美容に力を入れ、モテメイク、モテ服を本当に好きで自分が心地よいから選んでいる女性はどれだけいるだろう。

男性に気に入られるために選んでいる、いや、選ばされているのではないだろうか。

そのままの自分では受け入れてもらえないのではないか、好かれないのではないかとどこかで思い、自分を殺すように無理をして美しくなり、恋愛しているのではないだろうか。

 

私は美しくはないし、ファッションもわりと風変わりなものを好む。

しかしながら、それは、普通にモテ服モテメイクをしても、私はモテないということを見越した上での策略であった。

自分の着たいものを本当に着ていたか、と聞かれたら、当時はそのつもりだったけれど、今思えば、あれは鎧だったのである。

私は実際の洋服やメイク、持ち物に関しては鎧を脱ぎ捨てることができてきた。

ただ、人間関係においては、それがまだまだ怖い。

とりわけ、セックスとは親密な人間関係である。

私の恐怖で身がすくむ感じとはそれを指しているのかもしれない。

私は親密さが怖い。

この怖さは解消されることが一生ないのではないかと思うほどだから、私はセックスがもうできないと思っているのだろうか…

この考察は続く。