Journal de la Rive Droite 右岸通信

物理的には私は右岸にいる 精神的には左岸にいる これは右岸と左岸に解離している私の通信記録

ヒトカラセラピー

https://youtu.be/FxbFA0FUvxI

 

今日は私は初めてヒトカラに行った。

去年から私は様々なセラピーについて本を読み、調べてきた。

その中で、歌うということはアートセラピーよりソマティックで、ダンスセラピーより難しくなく、比較的簡単にできるセラピーなのではないかと思いついた。

音を耳で聴く、皮膚で振動を感じる、内臓と声帯を使う、それが歌うということであるから、改めて考えると、実にソマティックな行為といえる。

更には、歌いたい曲を選ぶということにはナラティブセラピー的な要素もある。

直接の自分の物語の想起が難しい場合でも、選んだ歌の世界を代替の物語と見立てることは、ある意味で夢分析に近いアプローチも可能である。

しかし、そう考えつつ、私は半年以上も実行できなかった。

そのくらい、私にとって、パフォーマンスをするというのは、そこに自分だけしか居合わせていないとしてもなかなかに敷居が高いことなのだ。

 

私に色濃くある、いちばんのコアビリーフは「存在してはいけない」、次にあるのは「自由に行動してはいけない」だ。

前者は私の世界の感じ方全体にフィルターをかけるような役割をしている。

青いサングラスをかけたら、青い世界が広がるように、私のいる世界は私が存在しない世界なのである。

それが強い離人感となってしまっていると私は理解している。

後者は私の生き方そのものだ。

母はなにかにつけ「好きにしなさい」と言った。

これは数多ある選択肢から母の気にいる何かを私が選べなかったときに必ず言われた。

しかし、具体的に〇〇を/〇〇にしなさいとは言わない。

私に選択肢を与えず、勝手に決めることも多々あった。

それがさも当たり前のように振る舞い、有無を言わせないのである。

私が何かを言えば「勝手にしなさい」とくる。

つまり、私はいつも本当に自由に何かを選ぶことができなかった。

選べない。人生はなにひとつ選べない。

生まれてくる家。すがたかたち。両親。家族。行きたい学校。住みたい街。

引っ越しの多さにより、友達だって何年かおきに総入れ替えだ。

それらはすべて、私に、常に、人の気分や気持ち、場の空気を読み続け、正解を選び取らねば生きていけないと思わせるのに充分だった。

 

間違わずに、素早く、表面上は自然に振舞っているように。

すっかり板についた、そんなスキルだが、それは明らかに行き過ぎていた。

行き過ぎるあまり、私は彼に会うまで、すっかり私を忘れていたくらいである。

しかしながら、行き過ぎている証拠は、感情を伴い、自由にパフォーマンスをすることができないということで露呈してしまうことだけは私は忘れてはいなかった。

歌う踊る演技をする。これらは自由すぎて、どうしていいかわからない。

「なにが正解かわからない」ということは私にとって恐怖そのものなのである。

更に言えば、もともと100%のちからで24時間パフォーマンスしている人が、その状態で更に違う何かをパフォーマンスはできないという理由もあるのだろう。

そうして、私は巧みにパフォーマンスを避け、暮らしてきたのである。

 

歌を選び、マイクを持つと手が震えた。

歌っているはずなのに、声が聞こえない。

マイク壊れてる?と、手でぽんと叩くとがさっと響く。壊れてない。

これは大変だ、私が壊れているのである。

声が出てない。唖然とする。

いや、深呼吸だ。こういうときはどのような本にも深呼吸と書いてある。

何度か深呼吸してから、あーあーと言ってみた。

晴れた日の午後の浅草のカラオケ屋さんというのんきなシチュエーションのなか、ひとり、勝手に切迫し、気が動転している割にはどこか間抜けに響く私の声が聞こえた。

気を取り直して、曲を最初からもう一度。

歌い始めたら「え?なに?なんなのこれは?」となるほど、涙が出てきた。

あんた、初めてレコード大賞を取った昔のアイドル歌手じゃないんだからさ…もう歌えてないじゃん…というレベルである。

このようにして、歌う、口に出す、ということは、書く、とは違うのだと私は37歳にして知った。

私の意識では全くキャッチできない理由で、私は確かに泣いていた。

彼と離ればなれになったばかりの頃と同じであった。

どのような効果があったのかはまだわからない。

しかし、私は、ウルフルズの暴れだすはたぶん少しうまくなったはずだ。

むねがああああああのところが歌うとすごく気持ちよいので4回も歌った。

人のために出来ることはあっても

人のために生きることができない

実によい歌詞だ。そうは思いませんか。

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